・八十八夜・竹の秋・落葉松の青葉・しゃが・ひめしゃが・藤の花
No.64
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▲落葉松の青葉と竹の秋
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八十八夜 ♪夏も近づく八十八夜♪…です。(2006年5月2日) 八十八夜は雑節の一つで、立春から88日目をいいます。 暖かい茶畑のある地域と違い、この地は、まだまだ夏には遠いと感じるころ。季節は急ぎ足で移ります。 近年は、年間最大の連休期間中に含まれますので、田舎も少しは賑わいをみせるようになりました。 逢ひにゆく八十八夜の雨の坂(藤田湘子) 竹の秋 上の大き目の写真、山肌がさまざまな若葉に彩られ、下山には、杉、落葉松(からまつ)、さらに竹薮が見えます。 落葉松の新芽は、同じ緑といっても黄色がすくない独特の色になります。 塗膳を曇らす峡の杉花粉(桂信子) また、竹はこの時期、葉が落ち、竹の子が若竹に育つため、俳句では「竹の秋」と表現します。逆に葉が青くなる秋の竹を「竹の春」と呼びます。 そうとは知らないとき、竹薮が枯れているのかといぶかしく思った記憶があります。田舎ものの田舎知らず・・。 竹の秋菜園繁りそめにけり(石田波郷) しゃが・ひめしゃが ひんやりした大気の中、しゃが、ひめしゃがが咲きました。 シャガ(写真上)とヒメシャガ(〃下)は、どちらもアヤメ科でよく似ていますが、よくみればヒメシャガがより小ぶりで、全体にかなり違うことがわかります。ふつう両者とも図鑑類では春の植物、俳句では「…の花」として夏の季語とされています。 シャガが少し早く咲きはじめます。 筍にくくり添えたるしやがの花(几菫 きとう) シャガは「射干」または「著莪」「胡蝶花」と書きます。 ただし「射干」は「ひおうぎ」の漢名で混乱します。 (「ひおうぎ」=アヤメ科で、花は黄赤色で濃い紅色の斑点がたくさんあり、花期は6〜9月) ヒメシャガは、シャガとくらべて、花の色が薄紫で、白を基調とするシャガと対照的です。 シャガは竹やぶのふちなどやや日陰に群生しますが、ヒメシャガはシャガより日当たりのいい場所を好むようです。この地方では、日本海側の北向き斜面に自生するといわれ、この辺りが自生地の南限といいます。庭に植えられることが多いようです。 瀬戸内地方では、植栽してもなかなか育たないといわれます。 姫著莪の花に墨する朝かな(杉田久女) アヤメの花と比べてください(ヒメシャガの下)。 藤の花 ひろく愛好される花のひとつ。大規模な藤棚、花房、花のひとつ一つ、それぞれに見るべきものがあります。 藤の栽培種以外に、自生種の野田藤、山藤があり、中国渡来のシナ藤などがあります。藤カズラとも呼びます。 くたびれて宿かる比や藤の花(芭蕉)*比=ころ 白藤の揺りやみしかばうすみどり(芝不器男) 藤の房吹かるるほどになりにけり(三橋鷹女) 暮れ際に茜さしたり藤の房(橋本多佳子)*茜=あかね 藤は、マメ科の蔓性落葉樹。 秋にはマメ科特有の実をつけ、小春日など陽気な日しずかな山間では、パチッ、パチッとはじけて実を飛ばします。 |
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