・梅雨・蚊・スイカズラ・栗の花・ササユリ・コアジサイ *・カワラナデシコ

私の歳時記

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梅雨1



梅雨

 梅雨入り前後に降った雨は、その後つづかず、この地も夏日を記録するなど蒸し暑い日々となりました。今年(2006)は、いまのところ空梅雨のようすです。*やがて低音多湿から高温多湿の、梅雨らしい気候となりました。

 6月20日、沖縄は梅雨明けしたと伝えられました。
 沖縄では、豪雨で大きな地すべりなど被害が出ているそうです。(出水・梅雨出水)

 その後、各地で豪雨の被害が相次ぎました。各地で集中豪雨の大被害があり、日照時間が例年の半分以下という地域もひろがりました。

梅雨は降り梅雨は晴るるといふことを(後藤夜半)

ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき(桂信子)




 先日来、蒸し暑い日には蚊が出ます。
 今の家屋は密閉空間にできますが、昔は今以上に、蚊が夏の暮らしに大きな影響があったのだな、と思います。
 山野歩きもやぶ蚊対策が必要になります。

隙人や蚊が出た出たと触れ歩く(一茶)
  *隙人[ひまじん]


スイカズラ

 スイカズラはもう花期を終えようとしています。
 忍冬(すいかずら・にんどう)、吸葛、竜爪花(りゅうそうか)とも呼び、俳句では忍冬と書くことが多いと思います。 花を摘んで、付け根を吸うと甘い蜜がでます。「すいかずら」の由来です。甘く薫り高い花です。
 もと、中国で冬の寒さを耐え忍ぶ常緑の意味で命名されたそうです。
 花や蕾を生薬として金銀花といい、枝や葉は忍冬と呼んで薬とするようです。
 花は、はじめ薄いピンクから白、2〜3日で黄色になっていきます。金銀花と呼ばれるわけです。

ハニーサックル(園芸種)
 英語ではスイカズラを‘honeysuckle’ハニーサックルと呼びます。蜜を吸わせるという意味です。ハーブや園芸に普及しているのは、紅と黄色の花をつける園芸種です。
 また、同じくハニーサックルと呼ばれる蔓性の落葉低木もあるようです。

忍冬乙女ら森を恋ひ来り(堀内星眠)
  *この句でも「忍冬」をすいかずらと読みます。


栗の花

 すぐ側で、もっと強く甘美な香りがします。栗の花です。
 花は地味ですが香りは梅についで親しまれるものの一つでしょう。人によっては強すぎると感じるようですが。
 丘の栗の木も満開です。

花栗のちからかぎりに夜もにほふ(飯田龍太)


ササユリ

 ササユリ(笹百合)が、明日にも開花するほどのつぼみをふくらませています。しかし、あまりに道路に近く、人目につきやすい場所です。
 2日後、私の草花探索の先輩であり、ナビゲータでもある人が見に行きました。「跡形もなかった」そうです。2年つづき・・。
 昔は、山の草刈もさかんで、野生の笹百合を食べていたんです(百合根)。今では、食用に栽培しているようですが、観賞用に採られるのもこの花の宿命に思えてしまいます。みんな、この花とその香りが好きなのです。

ためてゐし言葉のごとく百合ひらく(稲垣きくの)

 さらに後日、人目につきにくい場所にひっそりと咲いた一輪を見つけました。たとえ見つかっても近づくのが難しい場所です。
 その日、さらに他の場所でも数株見ることができましたが、そこでは花が終わりに近くややいたんでいました。
 葉が、見た目に笹そっくりで、名の由来を感じます。触れると、肉厚でざらざら感もなく笹とはまったく違います。

 

 やがて、別の、多くの場所でひっそりと咲くササユリを見ることができました。知られない限りしぶとく生き延びているようすにほっとしました。いずれにしても、減少いちじるしい山野の花の一つです。
 また、別の場所で「さく果」をつけた「ヤマノイモ」(自然薯)または「オニドコロ」の蔓に絡まれたササユリを見ました。おかしな取り合わせです。
 *ヤマノイモは世界に600種もあるといわれ、これまた一筋縄ではいかないところがあります。


コアジサイ

 コアジサイ(小紫陽花)が見事に咲いていました。紫陽花の仲間ですが、ほんとうに細かいつくりです。紫陽花はユキノシタ科に分類されます。なるほどコアジサイをみればその意味がわかる気がします。

 別の場所で、草木が生い茂る陰にも咲いていました。
 直射日光を受けにくい花は、青みがつよく、はっとするほど目にあざやかです。

 紫陽花は、栽培される品種もいいですが、コアジサイは野山でしか見ることができないですし、そのかそけき姿に感銘しました。
 >>野の花コレクション「コアジサイ」>>

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+歳時記

カワラナデシコ
 カワラナデシコ(または単にナデシコ)がもう咲いていました。道路わきの土手、水路の近くで、強い日差しにやや、色あせ気味です。
 河原撫子は、秋の七草のひとつです。ふつう八月に盛りを迎えるのではなかったでしょうか。今年は異常気象の影響で早く咲いたのかもしれません。[2006.6/19撮影]
 いずれにしろ、四季の野の花々は線を引いたようには咲かず
前と先とが重なりながら移ろい行くのです。