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・風薫る・五月朔日・シロツメ草・アカツメ草・多佳子忌・若葉

私の歳時記 No.70

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「・・歳時記」索引

初夏の田野を歩く



初夏の田園
 5月27日(2006年)が、旧暦五月朔日。
 皐月(さつき)、早苗月(さなえづき)などの異称があります。

さりながら雨くらからぬ五月かな(闌更 らんこう)

 5月29日、初夏の田園、畦道や土手を歩きました。
 久しぶりに晴れ、日ざしは少し暑く、風がここちよく吹きます。
 山では、マツゼミとホトトギス、ウグイスが啼き、たくましくなった稲が風にそよぎます。

風薫る所々に寝て行かむ(闌更)

 田んぼ道、土が盛り上がったようにモヤッと咲いている芝(の1種と思われます)の花におおわれた場所がありました。
 そのもやもや感が面白いのです(写真一番上)。中にタンポポやシロツメグサも見えます。次のシロツメグサを取り巻いているのがその小さな花です。2番目の写真の左下方に見えるのが、実をつけたスズメノヤリですから、小さな花穂はスズメノカタビラかと思いますが、断定できません。

 なお「風薫る」は「薫風」と同義です。かつて、この地方でも飼われていた蚕、それを主題にした薫風の印象深い句です。

薫風や蚕は吐く糸にまみれつつ(渡辺水巴)
 *蚕(こ)

シロツメ草
 シロツメクサ(白詰草)が咲いています。(写真上から3番目)
 クローバと呼んで昔はおなじみだった草が、最近は他の草に押され気味です。別名・うまごやし(苜蓿)もくしゅくとも読む。

蝶去るや葉とじて眠るうまごやし(杉田久女)

 色と大きさのためもあるのでしょうが、今ではアカツメ草(またはムラサキツメクサ)の方が目立ちます。(4番目)

 草むらの中に鮮やかな紅色で、同じ種類と思われる花が咲いていました。名を知りません。(5番目)
 田んぼでは、おそく生まれたオタマジャクシ(蝌蚪)が大きくなり、羽化したばかりかと思われるトンボが飛びます。

蝌蚪一つ鼻杭にあて休みをり(星野立子)
 *蝌蚪(かと)おたまじゃくし
降りそそぐ雨にかぐろし蝌蚪の陣(高橋淡路女)

休耕田
 今や、休耕田の草花は、田園に普通に見られる風景です。それにしても美しく見えます。>>大きな画面で見る>>

 5月29日は、多佳子忌。
 橋本多佳子(1899-1963)の命日です。多佳子は「ホトトギス」の四T(他は立子、中村汀女、三橋鷹女)の一人。

万緑やわが額にある鉄格子(多佳子)

夫恋へば吾に死ねよと青葉木菟(同)
 *夫(つま)。青葉木(あおばずく)。
蛍籠昏(くら)ければ揺り炎えたたす(同)

若葉
 季節は、若葉から青葉へと移る頃です。山肌も初夏の青を見せています。

筆とれば若葉の影す紙の上(森鴎外)

書庫暗し若葉の窓のまぶしさに(竹下しずの女)

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<忌>日のこと
 俳句では、おもに作家や俳人の命日(忌日)を「○○忌」として季語にすることがあります。
 芭蕉忌は、時雨忌(しぐれき)、桃青忌(とうせいき)、翁忌(おきなき)とも言い、旧暦の10月12日。
 太宰治の桜桃忌は、6月19日。別に太宰忌とも言います。
 芥川龍之介は、河童忌と言い、7月24日。別に餓鬼忌、龍之介忌。

 この歳時記では、ほかに一茶忌(11月19日)、蕪村忌・別に春星忌(12月25日)などを紹介しました。

 忌日(きじつ)は、親族の命日に、法事や寺参りをする「仏教」的習俗として行われています。しかし、これこそ習俗としての「ニホン仏教」であり、その観念は、忌みとケガレの古代宗教に基づいているものです。

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