・すすき穂・柿・返り花・茶の花・カタバミ・後の月

私の歳時記 No.28

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「・・歳時記」索引

里の秋

■写真(上)月食中の「後の月」(2005.10.17)

■写真(上)左から>黄花コスモス>たんぽぽのほだ>スミレの返り花>茶の花>カタバミの花>

すすきの穂

 高原、という感じがします。風は秋の音をたてて吹きます。秋どくとくの音を、俳句は「秋の声」と呼びます。
 丘を歩くと、何か実のはじく音や、かすかに葉の散る音も聞えてきます。


帰り花

 「返り花」とも書き、俳句では冬の季語とされています。
 今年の秋のようにいつまでもあたたかい年は、いろいろな花が「返り咲き」します。本来は春咲く花が、2度咲きするのです。桜、杜若(かきつばた)、サツキ、木瓜(ぼけ)などがよく知られています。

薄日とは美しきもの帰り花(後藤夜半)

 タンポポはセイヨウタンポポが多くなり、春から秋遅くまで咲き続けるようになりました。

帰り花母の言の葉詩に近し(加藤知世子)

 山道の入り口では小さな「すみれ」が咲いていたのを見つけました。11月になったある日、別の場所でも見ました。

茶の花
 
 この地では、何時のころからか自家用の茶の木を畑の土手に植えていました。その名残りが今でもあります。
 日当たりのいいところでは、早い花が咲いています。やはり冬の季語です。

茶の花は雄蘂の奢り日は沈む(中村草田男)
 *雄蘂(おしべ)・奢り(おごり)

 写真のように、茶の花は小さく地味なものですが、おしべがいばっています。

 同じツバキ科の山茶花も少し早すぎる花をつけています。椿の実は口を開けたものもありました。
 割れる前の椿の実

かたばみ

 カタバミがあちこちに咲いています。夏の花ですが、いまもどこでも咲いている花です。ゲンノショウコと同じく実を弾き飛ばします。また、合歓に似て、日が強くなると葉を開き、日が弱まると閉じます。写真は日が強くなるとしおれる露草といっしょに咲いていました。
 カタバミは、葉がすっぱいので、子どもの頃、食べていました。大量に食べると毒になるといいます。


虫たちの秋

 いまは昼でも草むらでコオロギや馬追いが鳴いています。
 一方、冬支度する虫たちがいっぱいいます。花があれば、蝶や蜂、花虻や蝿の仲間などが必ずいます。
 スズメバチは、来年の女王蜂を育てるために大忙しです。うっかり巣に近づくと大変です。スズメバチは、柿の実にもむらがっています。この秋、スズメバチは蝉が大好物とはじめて知りました。雑食なのでしょう。
 世界中の動物による死亡事故では、ハチ被害が最大で、2番目が毒蛇だそうです。


「後の月」が月食

 10月17日、満月。
 俳句では、中秋の名月に対して1ヶ月後の満月を「後(のち)の月」と呼んで、楽しみます。芋名月、栗名月とも。
 ちょうどいま、さつまいも、里芋などが収穫真っ盛り。

 今年はこの望月が月食となりました。
 写真は、ぼやっとした影しか映っておりませんが、肉眼でもはっきり見えました。さすがに、夜気は冷たく、長くは見ておられません。

 後日、「月食は、満月のときになる」ものだ、と軽く教えられて、あ、そうなんですかあ!とうなだれた。その人の子どもさんが天体観測が好きだったと、そのとき思い出した。
 こうした私の無知さ加減は、大して珍しくありません。

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