花野みたび(・花野・愁思・あけび・ゆうすげ・あけぼの草・センブリ・ノダケetc)
No.25
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笑いたくなる花野 天渺々笑ひたくなりし花野かな(渡辺水巴) *渺々(びょうびょう) この句は中七「笑ひたくなりし」が面白いです。そういう気分で花野を見ると、そういうふうに見えるのです。 この句は「愁思」を意識して作られていると思います。 愁思 沈んだ気分なら「愁思」です。何を見ても物思いにふけってしまうという俳語。 頬杖に深き愁思の観世音(高橋淡路女) あけび 通草(あけび)が実をぶらさげていました。もう少しで口を開けようというところです。 しばらくたったある日、他の場所で子ども連れの家族が、栗の実を拾い、あけびとりをしていました。自然に対して打ち解けた開放的な気分。実にいいシーンです。「いまどきの家族」が、休日に近くの山で遊ぶことが多いとも思えません。 ![]() また、10月に入って同じ場所を訊ねました。食べ頃のあけびが残っていました。少し離れた採りやすいのを二ついただきました。(2005.10.09) あけびは、種ばかりで食べられる果実は少しだけ・・。 でも、そのジューシーな味は「自然の甘味」です。後を引きません。秋は、栗や木いちご、茸など食べる楽しみも多い季節です。 ユウスゲか?――ユウスゲだ そのあけびの木の下に、ゆうすげが咲いていました。 7月頃から咲き続けてきたものと思われます。いやあ元気やなあ!長く細い花茎には野草の逞しささえ感じます。 足もとには、栗のイガが落ち、わずかな実も残っていました。 栗飯のあたたかく人を発たせけり(長谷川かな女) あけぼの草 リンドウ科センブリ属 あけぼの草を見に谷間に入ったのですが、そこではまだあまり咲いていませんでした。 後日(9/30)、別の谷間にあけぼの草が咲いているというので見に行きました。 見事な株がたくさんの花をつけていました。 小さな花なのですが、一つひとつの花は写真(左)のように細かな、細工がほどこされたようなつくりです。 遠くからでは、ただ白っぽい変哲もないただの草花とおもわれるでしょう。それが、この可憐な花が、いたずらな注目を集めず乱掘をまぬがれてきた理由なのかも知れません。 センブリ アケボノソウの少し後、開花したセンブリを見つけました。近くでアケボノ草もまだ咲いています。 昔は、山道の傍によく見ましたが、なんとか今も自生しています。見つけてうれしかった1つです。 民間薬、和漢薬では有名な胃薬です。全草を乾燥して煎じて飲みます。その苦さが千回振っても変わらないことから命名されたといいます。 センブリ属では、こちらが本元ですが、アケボノソウとは比較にならないほど小さな株です。 ノダケ 地味なのに、あちこちでふと目に付くのがこのノダケです。 開花の時期と場所によって色合いに濃淡があるようです。 ![]() ↑ノダケ(後ろはタムラ草) ![]() ↑鮮やかな色模様の虫が ホトトギス ホトトギスという植物も、ヤマホトトギス、ヤマジノホトトギスなどいろいろあって区別がつかない気分です。 キバナもあるそうですが、この地方では見ません。 彼岸花 あちこちの土手に彼岸花(曼珠沙華)が咲いていました。 別のページでくわしくとりあげましたが、秋分の日前後、この花を抜きに花野は語れないように思います。 花野の花々は、このたび写真に収めただけでもまだまだたくさんあります。またの機会があればぜひご紹介したいものもいっぱいあるのです。 花野やはらか移動文庫の車輪過ぎ(平畑静塔) 枯れた彼岸花 このページの終わりとしてはいささか寂しい感じですが、秋はそういう季節でもあること・・を意識して、枯れた彼岸花をおきます。 おそらく、ほとんどの人が、見過ごしてしまうものです。 上の同じ花のやつれた姿です。(2005.10.09) 曼珠沙華消えたる茎のならびけり(後藤夜半) |
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