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・サラシナショウマ・アケボノソウ・センブリ

私の歳時記

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花野行く U<ある谷間にて>



ある谷間にて
 そこはいつも通り抜ける谷間です。いままでは生い茂った草むらの中には入ったことがありませんでした。すぐ近くにアケボノソウが咲いているのを見つけました。

 車を降りて、谷間ぜんたいを見ると、遠目にサラシナショウマが咲いていることに気づいたのです。

 そこは、小さな峠を越す雑木林と杉の植林などを抜ける山道です。この谷間だけ、木が伐採されています。日当たりがよくなって数年が過ぎていると思います。
 どこでもそうですが、日が当たり始めてから数年後、それまで土中で眠っていた種子や根がいっせいに大きく育ち、花をつけるのです。

 とくにこの谷間は、中央に小さな渓流があり、ちょうど水流が、地下から地表に出る場所なのです。こういう場所にめぐり合うことはラッキーです。必然とは、偶然の重複の結果である、なんて「哲学」ぶったりしてしまいます。
 でも、谷間の側からはアンラッキーなのかもしれません。なにぶん「天敵」の人間相手ですから。人間は、できるだけそのアンラッキーを軽減するのが自然に親しみつつ保護する目標の一つです。

サラシナショウマ
 サラシナショウマは北海道から九州まで分布するといわれています。大型の草本で、茎の先の総状花序に多数の小花をつけます。
 茎は40cm〜150cmと高く、花序は10cm〜35cmで、秋の草むらにすっくと立ち上がっています。キンポウゲ科の多年草。漢名・生薬名が「升麻=しょう・ま」です。
 名の由来は、若菜を茹でてさらして食べる「晒し菜=さらし・な」と漢名の「升麻」をあわせたもの。
 ちなみに、中部から東北南部に分布するというレンゲショウマは同じキンポウゲ科で、花が蓮華に似て、葉が升麻に似るのだそうです。

 この谷間には渓流沿いに数十本が見えました。私には、実に壮観に見え、ため息が出ました。
 今では、サラシナショウマはなかなか側に近寄れない場所に咲いていますが、近くでみると(写真2枚目)、とても繊細なつくりになっています(向こう側の丸いイチジク形のものが、別の茎の蕾です)。
 総状花の下に、ぽつぽつと咲いている花を拡大してみました。肉眼ではちょっと見えにくい姿です。(写真3枚目)この花は、ガク片が落ちる寸前で、開花と同時にガクは落ち、雄しべの花糸(かし)や葯(やく)の部分が白く見えるのです。
 上から4番目の写真にはキツネアザミやタムラソウ、アケボノソウ、アキチョウジなどが写ってはいます。サラシナショウマの花茎がいかに丈夫なものかがわかります。
 ↓写真下は、葉のようすです。
 

アケボノソウ
 ここには、びっくりするほどたくさんのアケボノソウが咲いていました。先の大雨で渓流が溢れたらしく、横向きに倒れているものもあります。
 アケボノソウは、けっこう背が高いので倒れやすいのですね。高さは、50cm〜80cmと言われています。中には1mを超えるような高いものもあるようです。花冠は4〜5裂すると言われます。リンドウ科の二年草。
 アケボノソウは白い小さな花をたくさん咲かせるのですが、ふつう横からしか見えないことと、この微妙な模様も手伝って、遠くからは白が目立たないため、地味ィ〜な野の花に見えます。このたくさんの濃緑色の斑点か、黄緑色の二つの斑点か、それとも花が枝分かれして散らばるようす...かを、夜明けの星空(曙)に見立てて名づけたと言われています。なるほど、花が星型をして小さいですから。
 

センブリ
 センブリは、ゲンノショウコ、ドクダミと並ぶ日本の民間薬のトップ3と言われています。
 苦味成分が健胃薬として重用されてきました。その苦味が、千回(熱湯につけて)振ってもなお苦い…ことから、センブリという名がついたと言います。
 重用されはじめたのは、西洋医学が伝わった頃、江戸時代の末期からといわれ、それまでは殺虫剤として使われていたといいます。
 「猫にまたたび」といいますが、センブリにもマタタビほどではないもののやっぱり猫が「ラリる?」、言い換えれば、じゃれつくそうです。その成分などはまだ分からないとか。
 アケボノソウと同じリンドウ科で、多年草です。花冠は4〜5裂するようです。生薬名は「当薬-とうやく」。

マムシ、蛇の「穴惑い」
 この谷間には、ほかにもタムラソウやキツネアザミ、マアザミ、ツルニンジンなどさまざまな花が咲いており、また、季節をさかのぼると数多くの野草が見られます。
 これまで、中に足を踏み入れなかったのは、遠目には特にこれというものが見えなかったことと、あまりに草が深く繁り、イバラや棘がある草木が多くて、その上マムシがいる感じですから、足もとを固めないとちょっと敬遠したい場所だったからです。
 このたび5回ほどヤブコギしたら、毎回、蛇と出会いました。うちマムシが3回。シマヘビ2回。山野を歩くと必ずといっていいほどヘビやマムシに出会いますが、知る人ぞ知る人から「蛇が好き」と思われているこの私も、マムシも他の蛇も嫌なものは嫌なのです(苦笑)。

 蛇は実に面白い動物で、調査するといろいろ発見があったのですが、ついに好きにはなれませんでした。
 これからの時期、朝10時過ぎから蛇が活動します。その前は日光浴をして身体を温めます。ちょうど私と同じ時間帯に動くんですね。(笑)
 いよいよヘビも「穴惑い」(冬眠する穴を探して乾燥した場所をうろうろする、俳句では、そのようすをこう呼ぶのです)をはじめます。山では、尾根近くまで上がってきます。


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