・はつあき・ワレモコウ・ヌスビトハギ・木槿(むくげ)
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はつあき 初秋。 夏型台風10号(2006年)のあと、フェーン現象の猛暑にみまわれました。 野山は、夏の終わりから咲きはじめた花々に加えて秋の花々も咲きはじめ、ツクツクボウシがしきりに鳴き、思い出したようにミンミン蝉やクマゼミが鳴いています。草むらでは、馬追いなど秋の虫も鳴きはじめました。 山野の秋はどっとやってきます。 吾亦紅(ワレモコウ) しゃんとして千草の中や吾亦紅(路通) *路通は芭蕉門の放浪詩人 吾亦紅が夏草の中から抜け出して、てっぺんの花が紅くなりはじめています。 そう、吾亦紅は上の花から紅くなり、上が枯れた頃には下のほうの花が紅いのです。ふつうの花とは逆なのです。 バラ科の多年草。吾木香、我毛香とも書きます。 秋の名草に数えられます。 若葉を食べ、根を漢方に使うそうです。ただし、これも亦、飢餓時代の食と思うべきでしょう。 霧の中おのが身細き吾亦紅(橋本多佳子) 7月末には、まだ紅色はかすかでしたが、いまや(8月末)深い紅色で点々と草むらから抜け出しています。 野分(のわき)というよりも青嵐といいたいような台風のあと、横向きに、倒れてしまうことが多いのです。 なかに、ますぐに立っているのを見つけました。 アップすると「われもまた紅なり」を主張するゆえんがわかる気がします。 吾も亦紅なりとひそやかに(高浜虚子) *紅(くれない) この句、作者が虚子と知らなければ、平々凡々としていて、記録されないかも知れません。「大虚子」とて、いい句も作れば、よくない句も作ったのです。 ヌスビトハギ 小さな萩に似た花が咲いています。ヌスビトハギです。一つの花は米粒の半分の大きさもありません。 やがて、実となって、やたら衣服にくっつくので嫌がられます。実の表面にかぎ状の毛が密生して動物などに付着して種をばらまくのです。 「盗人萩」という穏やかならぬ名は、実の形が「抜き足差し足」の足の形に似ていることに由来するなどいろいろな説があります。マメ科。写真(下から2枚目)が全草。 似たものにアレチヌスビトハギ、アメリカヌスビトハギもあるようです(アメリカ原産)。 むくげ(木槿) ここには、園芸品種と思われる白花の木槿(ふつう「槿」と書きますが、俳句ではなぜか「木」をつけます)を掲載します。 ピンクや赤に近いものなど、あちこちの夏の庭や野をいろどりつづけて、なお秋の日ざしに映えています。 白花を白木槿とも呼びます。アオイ科の落葉低木。 木槿は秋の季語です。 秋あつき日を追うて咲く木槿かな(几菫) 道のべの木槿は馬に喰はれけり(芭蕉) 木槿は、中近東(シリアあたり)の原産で、平安時代に中国から薬用植物として伝えられたといわれます。 主として観賞用に栽培されます。 薬用には、白木槿の蕾を木槿花(もっきんか)と呼び、下痢・嘔吐などに煎用するそうです。 ムグンファ<無窮花>、韓国の「国の花」としてよく知られます。 白木槿咲かせ一家の秘密かな(姜キ東) 姜キ東=カン・キドンは、在日コリアンの俳人 |
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