・葱坊主・馬鈴薯の花・青梅・えごの花・銀竜草(ギンリョウソウ)
畑では 芒種(ぼうしゅ)は6月6日です(2006年)。 葱の花 野には野蒜、畑ではネギボウズ(葱坊主)がにょきにょきと立っています。 葱の花、ねぎぼうず、また、蕾が擬宝珠(ぎぼし=欄干の柱頭につけるもので、社寺や橋に多い)に似ているところから「葱の擬宝」(ぎぼ)とも言います。 季語としては、春ですが、この地では立夏を過ぎないと見られないでしょう。(葱は冬の季語) 葱の花少しひもじき日暮れ刻(鈴木真砂女) 葱の花ふと金色の仏かな(川端茅舎) ばれいしょの花 馬鈴薯(ばれいしょ)、「じゃがいも」の花も咲いています。俳句では、単に「芋」と詠めば、里芋をさします。 「ばれいしょ」や他の芋はその名を詠みこんで季語としますが、ほとんどが秋です。 馬鈴薯の花と吹かれて駆けいだす(結城昌治) 青梅 丘の畑には、青梅が大きくなっています。 俳句では、青梅・梅の実・実梅などをひとくくりにして夏の季語としています。この時季に急速に大きく育ちます。梅の実は、梅干ほか漢方薬、民間薬としても珍重されてきました。(「梅干」と「梅干す」は土用の頃の季語)青いうちは青酸を含むので、生では食べません。 青梅が闇にびっしり泣く嬰児(西東三鬼) *嬰児(えいじ) ................................................................................. 林では エゴの花咲く 林の中や裾のあちこちにエゴの花が咲いています。 「えご」の名の由来は、舐めると「えぐい」から、と言われます。ことに実は強いえぐ味がし、葉もえぐい味がします。 『万葉集』には「山萵苣(やまぢさ)の花」として出ていますが、他の説もあるとか。 どうも有毒らしいので、味見はしないでください。 俳句では、花がその姿のまま落ち、その白さが印象的なので、落花の句が多いようです。波郷の句にあるように、花はいい香りがします。 えごの花遠くへ流れ来て居りぬ(山口青邨) 朝森はえご匂ふかも療養所(石田波郷) ←えごの実[2005.7.21] ....................................................... ギンリョウソウ 白いといえば、ギンリョウソウ(銀竜草)です。 ギンリョウソウは、山歩きをする人には、この時季おなじみの植物のようです。私も古い記憶に見たことがあると思い、今回調べなおしました。 日当たりが悪い林の中などの、腐食した木の幹や枝、落葉から立ち上がっています。 れっきとした「草花」で、名は、色が透明感のある白(個体によっては薄いピンク)、形が竜に似ていることに由来するようです。竜というよりもタツノオトシゴ・・・小さくても目立ちます。春蘭とほぼ同じ大きさです。幽霊茸とか呼ばれることもあるそうですが、茸ではありません。 少し気味が悪いと言えばそうかも知れませんが、私などは、むしろ草木の妙が感じられてうれしくなります。 葉は茎の部分に鱗状となって退化し、緑の色素がないのは、根から腐食した木や葉の栄養分をとってまかなうので、光合成をしなくていいのだそうです。 「頭部」が花なのでしょう。中に青色の円が見えますが、その奥に蜜があるといいます。 いちばん下の写真は、同じ場所のやや日当たりがいいところに頭を出しています。薄いピンクがかかっているのは、日当たりのせいかと思えます。 いずれにしても、奇妙な植物ですが、珍しく、面白いので見るものを楽しませてくれます。最近、次の句を知りました。 銀竜草滝のしぶきを摘みきしや(宮津昭彦) |
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