夏野(・ヤブカンゾウ・コオニユリ・へクソカズラ・エゴの実・エノコロ草ほか)

<わたしの歳時記>13

「ふるさとの小さな丘」をめぐる山郷の自然と暮らし

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2005 真夏の山野にて U


夏の山野草木・・あれこれ

  + コラム「歳時記に思う」

夏まっさかりの野山に、ほとんど普通にある草木などです。(2005.7月下旬撮影)
*なお
は、下に拡大イメージ(1部別の写真)があります。

エノコログサ

 イネ科の1年草。別名「ねこじゃらし」狗尾草と書きます。俳句では秋の季語とされます。これは早朝の露が宿っているときのもの。
ツユクサ

 ツユクサ科の多年草。おなじみのブルーです。
かぼちゃの花

 早朝、見事な花を咲かせています。昼間はしぼんで花の形が見えません。
はぶ草

 ハブ茶にする栽培種です。花が咲いていました。(中央の黄色)

ナツメの花と小さな実

 ナツメの花。もう小さな実をつけています。


えごの実

 山には「えご」が実をつけていました。秋になると熟れた固い実を「おじゃみ」の中味にしました。
ハーブ(セージ)の花

 友人からいただいたハーブの1種で、セージの仲間とか。確かな名をまだ聞いていません。藍に近い青がいい。
コオニユリの花

 オニユリの仲間。日当たりのよい山地、野原に咲いています。
へクソカズラ
 ヘンな名ですが、葉などをもむと屁や糞に似た匂いがするのです。アカネ科。蔓性なのに木のなかまといいます。
ヤブカンゾウ
 ユリ科・ワスレグサ属。ノカンゾウによく似る花。別名「忘れ草」。(萱草)古い時代に中国から渡来したと言われています。植物も動物もたえず往来があるのです。下に少し説明があります。
がま

 生花の素材としてしばしば使われます。これも、休耕田で栽培されています。(コガマ)

 + コラム ■歳時記に思う■

動植物と季語

 俳句歳時記には、ここでもとり上げましたような植物・動物はじめ天文・気候や生活、行事・人事など、ありとあらゆる名称が集められ、100〜1,000代・・という膨大な数をしめしています。
 しかも、俳句独特の呼び方まであるのです。
 それらを全部とか半分とか記憶することは容易なことではありません。
 私は、そうした「物知り」歳時記を好きになれません。

 むしろ「季語」が季語たりうるためには、主たる季語、インパクトの強い用語を中心にすれば充分だと考えています。
 ですから、このHPを見て、読んでくださるみなさまの季語観はさまざまでしょうが、とにかく、写真と短文をお楽しみいただき、わずかにでも参考にしていただければ幸いです。
 なお、主な季語やキーワードは「いい句好きな句」もあわせてご利用ください。(感謝)

▼拡大版

・ヤブカンゾウ ・コオニユリ

ヤブカンゾウ(藪萱草)
<忘れ草垣もしみみに植ゑたれど醜の醜草なほ恋ひにけり>
――よみ人しらず『万葉集』
この「忘れ草」がヤブカンゾウの別名です。
 ノカンゾウは単にカンゾウと呼ぶのでしょうか。(こちらが黄色っぽい)
佐藤真由美『恋する歌音(カノン)』の「悲しい恋の忘れ方」がこの歌をとりあげています。
 どの花も花びらを整えることがなく、次々に咲いては萎み、ほぼ2〜3ヶ月同じ株が花を咲かせています。
 「萱 すげ」には「愁いを忘れる」という意味があるそうで、「すげなくする」の「すげ」ではないでしょうか?
 また、雄しべがすべて花びら状に変化して、八重咲きになっているので実はならないそうです。

<それとなく紅き花みな友にゆづりそむきて泣きて忘れ草つむ>
――山川登美子

コオニユリ
 山野でよく見かけます。
 しかし、いまではこうした野生の花々をはぐくむ山野自体が少なくなりました。

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